2017年11月13日(月)リタイヤ生活396日目

今日も朝から秋晴れ。


今、帰省中なので、向こうには南アルプスの手前の山々が綺麗に見えている。

ここは、母のいる特別養護老人ホームの中の母の部屋。
母は、ここに、もう約3年もいる。

 

痴呆症を発症してここに入所してから約3年。
最初の頃は、まだ痴呆症だけで、体は元気だったので、
少し歩き回れることも出来たが、
やがてだんだん歩けなくなって、車椅子になってしまった。
でもまだ食欲はあって元気で、いつもニコニコしていた。

施設の人も、母はいつも穏やかで、怒ったところを見たことがない、と言っていた。

 

今、病室の壁には母の写真が多く貼られているが、どれもニコニコした写真しかない。

そんな母が、1ヶ月くらい前から食べ物を受け付けなくなり、
点滴もできなくなり、この1週間位は進は水も飲めなくなっている。
1ヶ月くらい前に会った時よりも痩せこけて、
顔を見て話しかけても、ほとんど反応は返ってこない。

看護士の話では、点滴も内蔵に負担がかかり、
食べ物も水もとらせようとすると、誤嚥性肺炎になる恐れがあるため、できないとのこと。
この施設は病院ではないため、いろいろなチューブなどを繋いで
無理やり生存させようとするよりも、ご年輩の方に対しては、
出来るだけ自然のまま、様子を見守る、とのこと。

それが、当人に対してできる最大限のことだそうだ。

このような状態だと、特別なホルモンが分泌されて痛みを感じない、とのことだった。

確かに母は、やせ細っているものの、苦しそうなそぶりはない。

ほんやりした視線で、呼吸をしているだけで、顔を寄せてもあまり焦点が会わない。

 

ここの介護の人たちは本当に親切だ。
多分、この施設の経営者の考え方がそのまま反映されているのだと思う。
この施設に思ってお見舞いに来ると、必ず「わざわざ、ありがとうございます」といわれる。
「いつもお世話になっています」とこちらが言う前に、
相手からも「いつもお世話になっています」と言われる。
帰るときには、「ありがとうございました」と言って送ってくれる。
最初のうち、少し違和感を感じていたが、次第に考え方が理解できるようになった。

この施設の入居者は、介護士にとっては家族なのだ。
そのため、家族の一員としての挨拶をしているのだと思う。
それが普段の介護にもでている。
母に介護するとき、皆優しく声を掛ける。
まるで実の子供が孫のような態度で優しく接している。
この施設は、本当によい施設だと思う。
東京育ちの家内も、私も施設に入るようになったら、ここに入りたいというようになった。

 

母は、だいぶ足が冷たくなってきているが、呼吸はしっかりしていた。
昼に付き添った後、夜になって、もう一度施設に戻り、一晩中付き添った。

せっかく帰省したので、母に寄り添っていたい気持ちもあったし、

この数日、泊まり込んで来た義姉にこれ以上、無理をさせられない、との気持ちもあった。


同じ部屋で付き添っていると、

母がしっかり呼吸をしているところは補助ベッドからもよく見えており、
安心して一晩過ごすことができた。