2019年12月9日(月)リタイヤ生活901日目

今日は今朝からどんよりした曇天で、予報では午前中晴れとのことだったが、

結局、日差しは見えず、そのうち予報が、曇りのち雨に変わった。

 

やっとイザベラバードさんの朝鮮紀行を読み終えた。

文庫本サイズだがびっしりと字が埋まった600ページ近い分量だったのと、

途中で図書館から別の図書を借りては読んで返して、等とやっていたため、

読み終えるため、結局1週間以上かかってしまった。

 

この本を読もうと思ったきっかけは、この朝鮮紀行が書かれたのが、

日清戦争前後、そして日韓併合の前なので、

当時の日韓関係や朝鮮の人々の日本に対する感情、日本人の朝鮮人に対する仕草等が

イギリスの女性旅行家という両国にとっての中立的な立場から書かれているのではないか

と考えたことによる。

しかもバードさんは、日本の各地も旅行して日本の文化や人々にも接しているため、

両国の違いをより具体的に記載されていると期待していた。

 

読み終えて見ると、やはり当時から日韓関係は良くなかったことがよく分かった。

朝鮮の人々は反日、新清(中国)的な感情を持っており、

清も韓国を「わが属国」と呼んでいたようだ。

朝鮮内では、世界の中心は中国であり、欧州等は世界の中心から大きく外れた

蛮国のようなイメージのようだった。

まさに中国の属国意識が浸透していた。

 

それと、当時の官僚制度は汚職・横領等でかなり腐敗しており、

この当時に日本が浄化するために多くの苦労をしていた。

但し、日本のある官僚の勝手な行動で、朝鮮王朝の妃を殺害してしまい、

国際的にも非難される事になったことなどから、日本の活動は次第に下火になってしまったようだ。

国王の悪政で、しかも官僚制度は腐りきって人々は搾取されていたのに、

人々は国王を敬愛しており、日本が改善しようと強い反発にあったようだ。

この結果、日本は官僚制度の浄化には失敗する。

バードさんは、この日本の浄化活動には共感しているが、

日本は子細な事にもこだわって台無しにしてしまった、との記述もあった。

 

日本軍の行動はどうだったのか。

この本によると、朝鮮の人々の反発にあいながらも、

この行状はきわめてまっとうだったようだ。

清国軍の兵士が、農家などから略奪していた一方で、

日本軍は、必要な物資に対してきちんと対価を払って入手していた、とのこと。

対戦して戦死した清国の名将に対しては、碑を建ててきちんと敬意を表しているし、

清国軍の負傷した兵士も、きちんと看護されている。

行軍中に朝鮮の葬式の行列に会うと、きちんと道の両側に分かれて帽子に手をふれて弔意を表している。

 

これ以外にも、人々に対して「朝鮮の下層階級の女性は粗野で礼儀を知らず、

日本の同じ階級の女性のしとやかさや・・・」等とも書かれていた。

日本の農家の多くが勤勉で豊かなのに、朝鮮ではそのようになっていない、等の記述も見られた。

また、当時の妓生は政府の所属で、国庫から俸給をもらって、演奏、舞踏、詠唱等を行うと

書かれており、北朝鮮喜び組の原型のような感じがした。

 

この本を読んで、当時の日本と朝鮮の違いを痛感すると共に、

この時点で日本は、朝鮮統治の意図はなさそうであり、

むしろ朝鮮の官僚の腐敗や非合理的な文化の改革を手がけてみたものの、

効果が薄く手を焼いていたように感じられた。

唯一あるとすると、他の列強諸国への対応や大陸への足がかりと言う意味で、

朝鮮を戦略的に位置づけていたようで、決して朝鮮から搾取しようというような意識は全くなかったように読めた。

 

読み終えて、更に別の人の旅行記も読みたいと思っていた時に

図書館から予約していた図書が届いたとの連絡があったので、直ちに出かけた。

次の本も楽しみだ。