今日は朝から霧雨で、途中から雨に変わった。
母の付き添いで、施設の母の部屋の補助ベッドに1晩泊まった。
朝になって母の様子を確認し、しっかりと息をしている事を確認してから、ホテルに戻った。
慌ただしく風呂を浴びて、家内と朝食をとり、急いで介護施設に戻った。
今日は、午前中のボランティアの方が来て、母の前で歌を歌ってくれるとのこと。
部屋についてしばらくすると、ボランティアの方々がこられた。
思ったより多人数で、4人の方がハーモニカ、残りの方が歌を歌ってくれた。
曲は、「ふるさと」だった。
その時には、施設の普段面倒をみていただいている介護士の方も何人か来てくれて、
部屋の中はいっぱいになっていた。
歌い始めると、私は何故か息が詰まったようになって、しばらくの間、声が出せなかった。
母はすでに意識が混濁しているようで、それまでは無反応だったが、
歌を聴いているうちに、歌っている人の方をはっきりと見るようになったようだった。
1曲だけだったが3番まで歌い終わると皆の中から拍手がわいた。
普段面倒をみていただいている介護士の方も、義理の姉も、家内も、皆泣いていた。
壁には、今、泣いている介護士さんたちと母が、楽しそうに笑っている写真が何枚も貼ってある。
わずか数ヶ月前にはふっくらしてニコニコと写真に写っていた母が、
今はやせ細って意識なくベッドに横たわっている。
曲の後、しばらくの間、母は、すこしこちらをみているような視線を送ってくれていた。
少し覚醒したようだった。音楽の力はすばらしい、と思った。
義理の姉と交代で昼食にでた後は、夕方まで病室にいた。
昨日よりも呼吸が小さくなっていることが気がかりだった。
夕方になったので、家内とホテルに帰って食事をして、
私は、再び支度をして母のところに戻った。
今夜も、病室で付き添う。
部屋を暗くすると、母は安らかな顔で、大きな呼吸をしながら、寝ているようだ。
この夜は、何回も目が覚めては、母の呼吸を確認して、また横になる、の繰り返しだった。